INTERVIEW

2019/07/30

自分を信じると決めるのは“自分”

ライフスタイリスト
北條久美子さん  


「笑って一生」を座右の銘に掲げる北條久美子さん。いつも満面の笑顔で、素敵な旦那さんや仲間たちに囲まれた姿は多くの女性の憧れだが、“今”を手に入れるまでには迷いや葛藤や試練を乗り越えてきた道のりがあった。

心の底からやりたいこと?

短大時代、知的障害のある子どもたちが暮らす伊豆の施設に2週間泊り込みで教育実習に行くことになった。
当時すでに幼稚園の内定が決まっていたが、子どもたちと触れ合う中で、

「幼稚園の先生は心の底から自分がやりたいこと?もっとチャレンジできることがあるのでは?」

そんな思いが芽生えてきた。周りに何一つない山奥の中、実習が終わると夕日を眺めながら、
自分は一体どこに向かいたいのだろうと毎日毎日考えた。

そして実習後すぐに幼稚園の内定を辞退し、自分の可能性を求めて芸能にチャレンジすることを決意。
しかし実際に2年活動をしてみてわかったのは、芸能も心からやりたいことではない、ということだった。

 

時同じくして1度目の結婚。旦那さんの仕事でイギリスへ、その後ドイツへ移住することになる。
旦那さんは不在のことも多く就労ビザもなかったため、見知らぬ土地でただ独り、ひたすら勉強に没頭するしかなかった。
その結果、ドイツ語が何も話せなかった状況から大学受験クラスまで進級し見事ドイツの大学に合格!

ところが入学を目前に帰国が決まり、2年半に及ぶ海外生活を終える。帰国したのが26才。
卒業後働き出した友人たちは自分の道を切り開き始めていた一方、
仕事を探してみるもドイツ語だけ勉強してきた自分を採用してくれるところはどこもなく厳しい現実を突きつけられる。

「自分のやってきたことに意味はあったのか?私の人生って誰かの役に立つのか?」

友人と会うことすらコンプレックスに感じ、暗闇の日々を過ごした。

 

好きを仕事に?どうしたらいいの??

「芸能の仕事しかせず海外に行ったため、外で働くとはどういうことかがわからない。雑誌や本などを読むと“好きを仕事に!得意を仕事に!”などと書かれていたけど、そもそも好きを仕事にするってどういうことなの?得意なドイツ語を仕事にしようとしたけど求められなかったし、私は何をしたらいいんだろう…」

答えを探してもなかなか見つからない。それなら、

「とりあえず始めてみよう。何か一つの職業に就いてみたら見えることがあるかもしれない!」
そう気持ちを切り替え、週3日派遣で総務の仕事を始めた。

すると、有難いことにその職場で働く基礎を教えてもらい、働くという感覚を掴むことができた。
同時に、せっかく勉強したドイツ語を忘れるのは嫌だと勉強を続け、勉強するならドイツで叶わなかった大学へ行こうと3年次編入で東京外国語大学を受験。28才にして大学生となる。

 

一旦仕事を辞め、改めて「自分が得意なことって何だろう?自分の経験で輝いていた瞬間って何だろう?楽しかった瞬間っていつだろう?」と振り返ったところ、”話す仕事だ!”という答えに辿り着き、大学生活とも両立できそうな結婚式の司会者を思い付く。

どうやったら司会者になれるかわからずしばらく立ち止まるも、唯一知っている自分の結婚式の司会者に会いに行ったところ、タイミング良く若い女性の司会者を育てたいという相手の意向と合致し、無料で司会の育成を受けられることになった。約10ヶ月に及ぶ下積みを経て、晴れて司会者としてデビュー!司会者になってみて自分の一声に全てがかかっている責任感、披露宴が終わった後の爽快感や達成感が病み付きになった。

 

しかし大学4年になり進路を考え始めた時、司会の仕事はテンポラリーだったこともあり、
もっと自分の言葉で話せる仕事はないかと模索する中、運命的な瞬間が訪れる。

たまたま見た新聞の求人欄にあった“研修インストラクター募集”という言葉がまるで3Dのように浮かび上がって見えた。

「これだ!」とすぐさま連絡をし、半年間の育成トレーニングを受けた後、研修講師として働き始める。
実際に働いてみて、研修講師は天職だ!と感じた。

その後、離婚や企業勤めを経験しながらも、とにかく目の前のことに全力で取り組んだ結果、評判が評判を呼びいつしか独立することに。
そしてビジネスマナー本を4冊も出版する研修講師として活躍することとなる。

 

*北條さんの書籍たち*

2016年4月「ビジネスマナーの解剖図鑑」(エクスナレッジ)発行
2017年12月「サロンおもてなし教本」(フレグランスジャーナル)発行
2018年3月 「仕事の基本 社会人1年生大全」(講談社)発行
​2019年3月 「働き方のセブンマナー」(講談社)発行

著書を研修に導入してくれた感慨深いビジネスマナー研修の一コマ

 

演じていた自分からナチュラルな自分へ

約10年に渡りビジネスパーソンに対して研修講師をしてきたが、年齢を重ね、プライベートでも紆余曲折があり、伝えたいことを全て本に書ききったことで、改めて今自分が心の底から伝えたいことは何かを考えるようになった。

 

そんな時、運命的な出会いから再婚。旦那さんのお父様の闘病生活に寄り添い看取った経験から、

「生きてるだけで本当に幸せなんだ。大事なものは遠くにあるのではなく、家族や友人たちと過ごすなんてことない時間こそかけがえのないものなんだと思わされた。だったら、もっと自分の人生も大事にしたいし、本当に大事なものを大事にできるスペースが必要だと思うようになった。」

研修の仕事をいただけるのは有難いし楽しいし、スケジュールさえ合えばそれまで断らずにやってきたけれど、その反面フリーランスなのにフリーではない。やらなきゃ、こうしないと、に制限され、明日のための今日を生きている自分がいた。仕事の後は疲れきり、周りのケアができない。そんな状況を変えるために研修の仕事を断ることを決意。

 

そして自分に“ライフスタイリスト”という肩書きをつけて、

「人生そのものが豊かになれば仕事も楽しくなることを伝えていきたい。」とライフデザインやマインドフルネスなどを通じて、より豊かで健やかに、笑っている人を増やすための活動へシフトしていく。

すると、これまでどこか仕事の自分とプライベートの自分に隔たりがあり、仕事の時はまるで鎧を着て自分を演じているような感覚があったが、今は仕事中もナチュラルで本心。人間らしく野生児のようにありのままの自分で毎日を過ごせるようになった。

 

毎月開催されているライフデザイン講座。参加者と一緒にとことん自分と向き合う。

軽井沢の森の中でマインドフルネス

 

すべては自分で決める

昔から大事にしているのが“違和感を無視しないこと”という北條さん。

「なんかちょっと違うな、いやでもみんながこうしてるからした方がいい、という瞬間に本当かな?と思う。なぜなら違和感=本心の気がするから。違和感があるのに無理にいいんだと思い込ませるよりも、本当は何が理想なんだろう?本当はどうしたいんだろう?と自問自答してそれを書きだしてみる。」

 

私なんて、私にはそんなことできない、とつい思ってしまう人も多いのではないだろうか。
だけど、周りの人がなりたい未来に連れて行ってくれるわけではない。

「自分を信じることも、すべては自分で決めるしかないと思う。自信がない日だって、自分がちっぽけな人間だと思う日だってある。だけどそれでも自分を信じてあげよう、自分を励ませるのも自分だと思っている。」

 

以前の北條さんは、毎日、自己暗示のように、

“圧倒的なポジティブさとナチュラルさで世界にプラスの影響を与える!!”

と自分に言葉のシャワーを浴びせていたと言う。

 

「やると決めて行動する前にベースの部分で自分を認めてあげる。自分のことを好きになることも大事。そうでないと、うまくいかなかった時にダメだった答え合わせになってしまう。自分は心底可能性に溢れていて、なんでもできると思うことで、どんなことにもチャレンジできる気がする。」

 

自分で自分のことをおだてながら、自分を信じて前に進む。

 

「最高の自分がいるのではなく、最高の自分にするんだよ。最高の自分になる!絶対になれる!!とまずは思い込むことが大事。それは今すぐにでもできることだと思う。」

そうやって、自分を信じ、行動し続け、自分の人生に手を抜かずに生きてきたからこそ、今を手にしたのだ。お話しを聞いてそう感じた。

 

毎月開催されているライフデザイン+マインドフルネス講座の詳細はこちら
https://coubic.com/zestar-wellness/316135

キミサポサポーターとしてもご登録いただいている北條さんのページはこちら
http://kimisapo.com/802/

ライフスタイリスト
北條久美子さん

東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、執行役員・顧問として企業の人財育成や教育体型の構築にも携わる。
現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。

●資格
キャリアコンサルタント/心理カウンセラー/コーチ/睡眠指導者/マインドフルネストレーナー