INTERVIEW
2019/12/30
PIAZZA株式会社 取締役
吉澤 晶子さん
街のプラットフォーム『PIAZZA』を運営、今まさに成長著しいベンチャー企業の執行役員(当時)とお聞きして、どんな経歴の持ち主なのだろうと思っていたら、お弁当屋さんでパートをしていた時期もあったという吉澤さん。これまでどんな人生を歩み、今に至るのか。一人の女性の生き方として大変興味深く、お話を聞かせていただきました。
10年会社勤めをした後、妊活に専念するために退職。その後、無事に妊娠・出産をして母となる。
しかし思い描いていた形ではあったものの、いざ専業主婦になってみると
『疎外感や孤独感を感じるようになって。子育てが始まり、初めこそ児童館などに行ってママ友づくりをしようと試みたけれど、その場限りで仲が深まらなかったり、遠慮して変に気を遣ってしまう状態に疲れてしまって。』
そこからは人のいない公園やデパートに行くなどして時間を費やす日々が続くも、ふとある時、
『私のことを知っている人が誰もいない。ましてや息子のことを知っている人がいない状況に危機感を覚えて。子供に申し訳ないという気持ちもあり、何かしたい!と思うようになりました。』
そして思いついたのが、料理教室でした。
『振り返ると、母が栄養士で幼少の頃の食卓は楽しく豊かだった原体験があり、親子を繋ぐのに食は大事だなと。そして何より、食を通じて地域との繋がりをつくりたいなと思いました。』
ただ、吉澤さん自身は料理が嫌いだったため、
『料理が嫌いな人でも作れる子供向けの料理をコンセプトに料理教室をやったらどうだろう。それによって同じように料理が嫌いなママや共働きでもっと忙しいママたちの解決策にもつながれば!』
そんなアイデアが浮かび、経験を積むためにお弁当屋さんでパートを開始。
しかし、“誰も来てくれないのでは?”という後向きな気持ちがあって始められずにいたところ、知り合いの方が“とにかくやってみなよ!”と背中を押して、教室を開くきっかけの場まで作ってくれたことで一歩を踏み出せたそう。
その後もブログを書いたり、料理教室のサイトに登録したりしながら、勝どきの自宅で料理が嫌いな人でも簡単に作れるレシピを提供。子供が作り親が褒めるという親子参加型のスタイルで料理教室を開催したところ、想像以上にニーズがあり、神奈川県や埼玉県からも参加してくれる親子が!
すると、当時そのような形態の料理教室が珍しかったことや、妊娠中に保育士や食育インストラクターの資格も取得していたことから、新聞やテレビから取材依頼が来たり、地方のイベントに呼ばれたりと徐々に活動の輪が広がっていく。さらに、地元の特産品を持ち寄り隣人とおにぎりを握って食べる“おにぎ隣人祭り”なども毎月開催。次第に活動をもっと大きくしたいと思うように。
(写真)料理教室やおにぎ隣人祭りの風景
そこで仲間集めや協賛してくれる食品会社などを募るために、中央区で開催されていた事業コンテストに参加。
これからサービスを始めようとプレゼンに参加していたPIAZZA代表取締役の矢野さんとの出会いが訪れる。
矢野さんは、“人々を支える街づくりをしたい。”
吉澤さんは、“地域のコミュニティづくりをしたい。”
そんな2人の思いが重なり、PIAZZAの活動に参加することに。
初めは料理教室の活動をしながらの参加だったが、もともと地域の繋がりをつくりたいと思っていたこともあり、PIAZZAが大きくなるにつれ吉澤さん自身の活動もPIAZZAが中心となっていく。
会社員→専業主婦→料理教室開催→PIAZZAとこれまでさまざまな経験をされてきた吉澤さんだが、その中でどんな変化があったのか。
『専業主婦の時は、どこか夫に遠慮している部分があり、お小遣いをもらうような感覚で。数日前までガンガン働いてお給料が入っていたのに、辞めた途端、稼いでいない自分がすごく価値のない人間のように感じてしまって。』
『それに対して今は、最低限自分で生活できるだけの収入が得られるようになり、万が一何かあっても生きていけるリスクヘッジが取れ、精神的にも経済的にも自由や選択肢をもっている強さをすごく感じている。』
これからもっと仕事の範囲も広げていきたいと語る吉澤さんにとって、仕事とはどんなものなのだろうか。
『仕事は人生の可能性を広げてくれるもの。会社員時代、いちスタッフだった頃の自分がまさかベンチャー企業で役員になれるとは思ってもいなかった。どちらがいいかは考え方次第ですけど、今は出会える人も変わり、大企業と一緒に仕事ができたりと、創業当初には考えられなかったことができていることにすごく興奮するし、喜びを感じる。仕事を通じて、今までの自分とは違うワンランク上の自分になれる。』
『今後もっともっとPIAZZAのサービスを広めたいし、仕事を通して人の成長を応援したい。人の可能性を広げ、成長する場を創っていきたい。』
と語る吉澤さん。
『みんながぐっと成長していくところを見るのがすごく好きだし、自分の強みだし、仕事をやっている醍醐味だなと。でもこれが得意だと気付いたのは、ほんとこの一年くらい。これまでは自分でやる方が得意だと思っていたけど、人に活躍してもらう場所を作るのが自分に合っていると気づきました。』
それは仕事をしているからこその発見ですね!と言うと、
『そうなんです!これもまた新たな可能性だし、仕事をやっているからこそ。だから仕事は面白くてやめられない!笑』
そう笑顔で語ってくれました。
先日、総額1.4億円のシリーズA 資金調達を実施され、新経営体制で発進することを発表されたPIAZZA。
吉澤さんも執行役員から取締役に就任され、今後ますます広がりを見せるPIAZZAから目が離せません!
BOOK人生に影響を与えた本
一般企業にて新規事業開発・法人セールスを経て、創業メンバーとしてPIAZZAに参画。ゼロからのコミュニティ立ち上げ、行政や企業とのアライアンスや事業開発、採用まで多岐にわたる業務を担当し、現在のPIAZZAの土台を築く。